校長室から

2024年3月の記事一覧

3月25日 修了式-「夢中を楽しむ学校」について

A School Where Students Enjoy Engrossing

【修了式にて話したこと】

私は、日向小学校を、「子どもたちが夢中を楽しむことのできる学校にしたい」と考えて、その考えを学校のホームページにも、掲げていました。実際、クラスによっては「夢中タイム」のような時間を作ってくれたところもあったようです。卒業アルバムのタイトルも「夢中」でした。

この一年間、皆さんは、勉強や遊び、掃除や係の仕事など、自分なりに「夢中を楽しむ」ことはできたでしょうか。

ここで、「3人のレンガ職人」のお話をしましょう。

昔、ある旅人が、とある村を通りかかったとき、一人のレンガ職人が、実につまらなそうに、力なくレンガを一つずつ積み上げているのを見かけました。

「あなたは、何をしているんですか」

と質問すると、そのレンガ職人は、

「見ればわかるだろ。レンガを積んでるんだよ」

と、つまらなそうに答えます。

旅人は、さらにその職人に、

「なんでレンガを積んでるんですか」

と尋ねると、

「知らないよ。現場監督が、ここにあるレンガを積んどけって言うから積んでるだけだよ」

と、いらだちを見せながら答えます。

旅人は、その場を離れて、さらに村の奥の方へ行きました。すると今度は、先ほどのレンガ職人よりは、一生懸命にレンガを積んでいる職人に出会いました。先ほどと同じように、

「あなたは何をしているんですか」

と聞くと、

「ここに壁をつくっているんだよ。壁さえできれば、お金がもらえるから、さっさと済ませないと」

「なるほど」 

旅人がさらに進んでいくと、3人目のレンガ職人に出会いました。このレンガ職人は、これまでの職人たちと違って、実に生き生きと楽しそうです。時々、周りの職人たちと笑顔で話しながらレンガを積んでいます。

旅人は、不思議に思って尋ねました。

「どうしてそんなに楽しそうに作業をしているんですか」

「この村に、初めて大きな公園ができるんだ。公園ができたら、子どもたちが安全にここで遊ぶことができるんだよ。きっと子どもたちは喜ぶと思うよ!」

と、実に嬉しそうに、胸を張って答えました。

まさに、この3人目のレンガ職人こそ、「夢中を楽しんでいる」と言えるのではないでしょうか。

3人とも、「レンガを積む」という作業は同じです。 

でも、この3人のレンガ職人の働き方の違いは、なぜ生まれたのでしょうか。

おそらく、「何のために」「誰のために」その作業に取り組んでいるのか、を理解しているかどうかの違いだったのではないでしょうか。 

これからまた皆さんは、次の学年に進み、勉強をしたり、友達と遊んだりして過ごすことでしょう。

先生や周りの大人たちから「やれ」と言われたからやっているのではなく、自分なりに「それは、何のためにやるのか」「どんな役に立つのか」などを考え、意味づけながら取り組めば、きっともっと夢中を楽しみながら過ごすことができると思います。

また来年も、一つでも多くの「夢中になれること」を見つけて、楽しみましょう。